くだもの物語 <秋>

 桃の収穫が終わるとふじの葉っぱ摘みです。本当は葉っぱがたくさんあったほうがおいしいりんごになるのですが、葉っぱで隠れている部分が赤くならないのです。りんごにくっついている葉っぱを摘み取っていきます。
 葉っぱを摘み取っていくと今まで隠れていたりんごが見えてきます。なんか床屋さんにいってきたみたいにさっぱりしてきます。これからふじはひとまわり大きくなって真っ赤に色づいていくそうです。
葉っぱがあるとわからないのですが
 葉っぱをずらしてみると・・・
これはプルーン。
大粒のくり
ビックサイズの「あけび」
 「実りの秋」とはよくいったもので、この時期はくだもの園からはいろんなものが取れます。プルーンの干してあるのはよく見かけるけど、私も生で見たのは初めて。味はすももに似た感じでさっぱりしています。このプルーンのジャムをごちそうになったけど、これがやみつきになりそうなほどおいしいのです。
粉ミルクだよ!
 畑では肥料やりの作業。肥料のひとつ、粉ミルクを撒いているところです。「おいしい実を成らしてね」と一本一本に声をかけながら撒いてしまいます。さて、明日からはラフランスの収穫作業のスタートです
今年もおいしい!
 ラフランスの収穫が始まりました。今年は台風の影響もなく仕上がりは順調。大きな実がゴロゴロと実っていました。
 ひとつひとつ丁寧に篭に入れて収穫していくわけなのですが、収穫するのに意外と重要なのが「脚立をどこにかけるか」なんですね。当然のことながらあんまり遠いと取れないし、近すぎると枝がじゃまをして作業にならない。
 はじめのうちは枝と枝の間に頭をつっこんで、枝とケンカしながら収穫することになります。まるで「まだまだ俺の実を取るのは10年早いよ」と言われているよう。ようやく慣れてきて枝の間に上手に頭を出せるようになると、緑の葉とたわわに実ったラフランスにぐるっと囲まれた、あたかも木に抱かれている様な空間に出会うことができるのです。
 収穫した実はその場で不良品と大きいものと小さいものに分けてコンテナに入れていきます。
冷蔵倉庫のラフランスのコンテナ
 ラフランスは収穫したあと冷蔵倉庫に入れて10日ほどやわらかくなるまで追熟します。このあとやっとみなさんへお届けすることができるのです。
 ラフランスの上にちょこんとカエルが乗っていることがよくあります。さて、このカエル何をどうしてこの実の上に乗っているかというと、実はこのラフランスの下の方が腐っているのです。腐っていると虫が集まってくる。集まってくる虫を食べているのです。  ラフランスの葉先は丸い形をしています。葉が大きくなると、くるんとスプーンのように丸まっていきます。雨が降るとこの葉に雨水が溜まり、次の日収穫すると晴れていても服がびしょびしょになってしまいます。
 ラフランスの収穫が終わるとりんごふじの玉廻しの始まりです。いやぁりんごの実ってこんなに大きくなるもんなんですね、と言いたくなるくらい大きくなっていました。大きいものは片手で持つと小指がかからないほど。
 この季節からは天気が悪い日が続きます。腕を上げて濡れているりんごを廻していると、そのうちそでぐちから水が入ってきてそでの中を水滴がつつーっと腕をつたって・・・あぁくすぐったい!。「あっ!」あいかわらず廻したついでに手にくっついてくるりんごがあって大騒ぎ。
これは廻す前
くるんと廻すと・・・

 10時と3時は休憩。りんごの木の下でくつろぎます。はしごの足を大きめに広げてそれを椅子の代わりにして腰掛けます。お茶と玉廻しのついでに取ってしまったりんごをほおばりながら、たわわに成ったりんごの実のすき間から、見上げる青い空に綿をちぎって風で飛ばしたような雲。なんか生きてるなぁって感じがするひとときです。
ただいま選果中
 冷蔵倉庫から引き上げてきたラフランスを選果機にかけて大きさ別に分ける作業となりました。その実の大きさのところまでくるとガチョンガチョンと下がって実が落ちていく仕組みで、見ている分には面白い。ただ、放っておくと実が溜まってあふれてしまい大変なことになるので、次から次へコンテナへ取り込んでいかなければならないのです。これが大変!なにせ機械のペースで落ちてくるものだか気が抜けないのです。つい最近まではこの作業を人間の手とはかりでやっていたのだからすごいものです。「でも、手でやったのとあんまり時間は変わらないかな」とのこと。やっぱりすごいのは人間なのかもしれません。
ゴロゴロと落ちてきます
 さて、お次はシルバーベルの収穫です。とにかくシルバーベルは大きい。 実を片手で持つと片手にあまる大きさなのです。大きいものになると1個1Kgほどになるのです。
これがシルバーベル、でかい!
 シルバーベルも収穫したあと冷蔵倉庫に入れて10日ほどやわらかくなるまで追熟します。
きれいに赤く色づきました
 くだもの園の秋も深まり、周辺の山々は、はらはらと色とりどりの葉を落とし始めました。
 ふじの収穫です。毎年見ていても、緑の葉に赤い実がコロンコロンとたわわに実っている姿はすばらしいものです。
 
ふじの収穫です
 ふじの収穫の頃は雨がちのぐずついた天気になるそうで・・・そういえば前にふじを収穫したときは雨でしたね。
 青い空と赤いりんご。収穫するのはやっぱり楽しいですね。昔から収穫祭があったのが良く分かります。そして、こうやって収穫した物が昨日のように自分の手で売れるというのは、作る者の本当の喜びなんだな・・・と実感していました。
枝に親指を添えて・・・
上に持ち上げる
ほら、簡単に取れた!
 みなさんはりんごを取ったことがありますか?これが意外と木から取れてくれない。そんなに簡単に取れては風に吹かれて落ちてしまいますもんね。「パキッ」と上手に収穫する方法を教えてもらいました。
 枝に指を添えるのがコツで、添えた指を中心に上に持ち上げると「パキッ」と軽い音がして、りんごが手に残ります。取ったりんごは左手に持ったかごの中に入れていくのですが、りんごは意外と重いのです。はしごの上で調子に乗ってかごにりんごを入れすぎると、バランスをくずして・・・ということになります。りんごの枝はりんごの重みでかなりしなっているんですね。ついつい枝の先から取っていくと枝がだんだん軽くなって気がつくと上の方のりんごが取れなくなってしまうのですね。このためりんごは高いところから収穫していきます。慣れてきて、ほとんど力を入れなくても「パキッ」と取れるようになってくると楽しくなってきます。


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